
こんにちは、今回芦屋で6月に開業する馬庭と言います。
今回は、前歯にインプラントの難しさについてお話しします。
インプラント治療は、欠損部分に対してインプラントを埋入する治療となります。以前説明させていただきましたが、前歯にインプラントを埋入する際には、Bone level implant という、治療後にインプラント体(フィスクチャー)自体が完全に骨の中に入って、歯茎が閉じた状態で終わるインプラントシステムを選択することが多い治療です。
しかし、前歯に対してインプラントを真移入する際は、考慮することはそれだけではありません。実際は、さまざまなことを考慮しなければなりません。
というのも、通常は上顎も下顎も前歯部分は、骨がそもそも薄い部分となります。天然歯があったときのCTでの断面で見ても、天然歯の頬側にはわずか1mmほどの骨しか症例が多く散見され、1mmもないような症例も多々確認されます。
通常抜歯に伴い、その周囲の骨は垂直的にも水平的にも1mm以上喪失すると言われています。つまり、なにも考えずに歯を抜くと確実にその組織の喪失を起こし、反対側の天然歯に比べて、明らかに条件が悪くなります。また、得てしてそのような難しい条件のもとで埋入されたインプラントはそのインプラントの方向も悪く、治療後に審美的な問題を生じる右可能性もあります。
そのため、そのような治療後に生じるリスクも考慮した上で治療に臨むことが重要となります。私自身、他院で埋入された審美的な問題を抱えるインプラントを何度か治療を行い、ある程度審美的に仕上げる治療を何度かしてきましたが、これが本当に難しい・・・・。顕微鏡下での繊細は処置が求められるだけでなく、そのゴール設定も通常のインプラント治療よりも若干妥協的なゴールにならざるを得ません。
やはり、一度埋入されたインプラントのリカバリーは技術的にも知識的にも多くのことが必要となり、その複雑さに毎回心が折れそうになります・・・。
そのため、もし前歯にインプラントを埋入するのであれば、できるかぎりそのような不足な自体が生じないためにもさまざまな補償的な処置を行い、生じる可能性のあるトラブルに対して、最大限の配慮を行う必要があると私は考えています。
具体的には、正確なインプラントポジション、頬側の少ない骨を保証するための人工骨の使用や歯茎の移植、また仮歯や最終のかぶせものの形態の工夫。
どのステップもおろそかにはできない大切なステップなので、もし前歯にインプラント治療を考えている患者様は、相談していただけたらと思います。
治療相談も承っていますので、気軽に相談していただけたらと思います!