
こんにちは、芦屋まにわ歯科の馬庭です。
今日は、天然歯の優位性についてお話しします。
歯が痛いなら、いっそ抜いたほうが早いのでは?」
そんなふうに思ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、歯を抜いてインプラントや入れ歯にするのも選択肢のひとつです。そのような代替的な治療になったとしても、十分に審美的に綺麗な状況に仕上げることは先人たちの知恵や経験によりその方法はある程度確立されており、昔よりも確実に行うことはできます。大変なことは大変ですが・・・・。
しかし、現代の歯科治療はとても進歩しています。そのため、多少条件が難しい天然歯だったとしても、適切な時期に適切な治療介入により、機能や見た目も十分回復できます。
なぜ、天然歯はそこまで優秀なのでしょうか?
それは天然の歯には「歯根膜(しこんまく)」という組織があるからです。
そして、この歯根膜という天然の組織、これの役割はかなり大きいものだと私は考えています。
まずは、歯根膜は噛んだときの圧力や刺激を繊細に感じ取る力があります。
たとえば、硬いおせんべいとやわらかいお餅の違いを瞬時に感じられるのは、天然歯ならではの機能です。
それにたいして、インプラントにはこのセンサーがありません。そのため、強く噛みすぎてしまったり、違和感に気づきにくいことがあります。もちろん、入れ歯にもその機能はありません。ある意味、天然歯は、天然の力のストッパーが自動的にかかるといえます。このインプラントにない、天然歯の天然のクッションが天然歯の優位な部分であると私は考えています。
また、この天然歯特有の感覚以外にもこの歯根膜はさまざまな優位な側面を持ちます。その一つとして、その部位の組織の保全です。
通常歯を抜くと、その部位の骨や歯茎などの組織は喪失します。これは、どれだけ頑張ってそこの組織を愛護的に抜歯しても、その組織の喪失を避けることはできません。通常、抜歯を伴う処置をすると、組織の喪失はさけることはできず、高さにして、2-3mm喪失することがあり、水平的にも30%くらいの喪失を起こすことがわかっています。
それに対して、天然歯の歯根膜を残すことで、そこの組織の喪失を可及的に少なくすることができます。つまり、できる限り天然歯を残すことでそこの組織の喪失を少なくすることができ、結果的に何か次の一手を打つ際にも組織の保全が行われている結果、比較的容易に審美的にも満足のいく状況をつくることができます。